気が付くかな、夏海。







俺の宝物を、お前に預けるよ。



隣の部屋の山本さんから、お菓子が入っていた缶をもらったから、それに入れておくことにした。

あれだったら、少しくらい雨に濡れても平気だろう。


俺の大事なものと、お前への手紙を、その中に入れた。



お前は知らないだろうけど、あのあと、俺はもう一度だけ学校に行ったんだ。

父さんに無理を言って連れて行ってもらって、あの日、お前を見つけたあの場所へ行った。


そこに、置いておいたから。



ちゃんと見つけてくれよ。

別に、少しくらい遅くなってもいいけど。

でも、なるべく早く見つけてくれ。


だって、あれには、お前に伝えたいことが入っているんだ。



お前はどこか抜けているから心配だ。


笑っていてほしいと、そう思うけれど。

ひとりで泣いたりしないだろうかと。

苦しいことを、抱え込んだりしないだろうかと。


だから、お前に言えてなかったことを、伝えるよ。


それで、少しでもお前が救われてくれたら、俺も救われる。



なあ、夏海───