夢みたいだった。
空の青とは全然違った。
もっとずっと濃くて、深くて。
きらきらしてるところは、夜空に少し似ていた。
初めて見た、ずっと見たかった。
死んでしまう前に、一度だけ。
見てみたかったんだ。
青い、青い、どこまでも広い、海を。
綺麗だった。
夏の海。
お前の名前と一緒だな。
お前が、見せてくれたんだよ、夏海。
お前がいたから、俺は海を見られたんだ。
俺は、あの景色を、ずっとずっと忘れない。
あの景色も、あのとき感じた想いも、お前の涙も。
死んだとしても、忘れないから。
だって、死んだくらいで、忘れられるものじゃないだろう。
空っぽだった俺を、埋めてくれたのは、お前だ。
俺の全てが、お前なんだよ、夏海。
お前は知らないだろうけど。
だから涙を流したんだろうけど。
それでも、俺は、忘れない。
いつまでも永遠に、お前のことを、想い続けよう。