閉じていた瞼をそっと開けた。

太陽が眩しくて、また閉じそうになったけれど、そこは我慢して目を開いた。



立ち入り禁止の屋上に、転落防止の柵はない。

わたしは縁まで歩いていき、そこに足を置いた。


真下は人通りのない細い通り。

今も、相変わらず誰もいない。



確か、ここから足を出そうとしたら、声がしたんだっけ。



『なあ』



もしももう一度、わたしがここから死のうとしたら、きみはわたしを呼んでくれるかな。


そんなことを考えて、少し笑えた。

わたしはいつも、くだらないことばかり考えてしまうんだから。