ずるいよ、そんなこと。
そんなこと言われたら、何も言えなくなるじゃない。
言えるのは、そう、これだけ。
「わたしも。わたしも朗を、あいしてる」
きみが消えてしまっても、わたしがきみを忘れても。
わたしが一番に愛してるのは、いつでもきみだ。
きみがわたしを、忘れない限り。
「夏海、こっち見て」
ゆるりと、わたしの頭を抱いていた朗の腕が頬に滑り落ちた。
冷たい掌に誘われるように顔を上げると、涼しげに笑う朗が、わたしを見上げていた。
「笑って。お前が笑うと、俺は嬉しい」
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