「生きててよ、朗。ずっとわたしと一緒にいて」


声は嗄れていた。

すぐに空気に溶けて、どこにも響かない声だ。


でも、きみにはちゃんと届いていて。



だからこそ、そんな風に、困ったように笑うんでしょ。




「悪いな。お前の言うことは、なんでも聞いてあげたいけど」


目を細めて、朗は言う。

相変わらず涼しげで、柔らかな声色だ。


そう、いつだってきみは、晴れた冬の日のように穏やかで。

わたしばかりがいっぱいいっぱい。



「……なんで」


雪のような白い肌に、しずくがひとつ、ぽつりと落ちた。