───わたしはわたしの思うことをやろう。
誰のためでもない。
きっと、わたし自身のためだ。
誰かのための自分になりたかった。
だからこそ、きみがわたしを求めてくれたあのとき、わたしはきみの手を払うことをしなかったんだろう。
わたしを必要だと言ってくれた、誰にも必要とされなかったわたしに。
わかっていたんだ、それがとても、嬉しかったことに。
でも、変だね、いつのまにか、きみのためにやっていたことが、わたしのためになっている。
たぶんきみのせいだよ、だから、許してね。
その代りに。
自転車のペダルを強く踏んで。
速く走って、風にだって逆らって。
わたしは今から、きみを迎えに行く。
そしてきみの想いと一緒に、ずっときみが夢に見ていたあの場所を、目指すから。
ねえ、朗。
待ってて、すぐに行くから。
わたしが追いついたら、もう一度。
昨日の続きを、始めよう。
たとえ、きみが来なくても───