いつの間にか周りの景色は、田んぼばかりの風景から、建物が立ち並ぶ街並みへ変わっていた。
じっと、窓の外に目を凝らす。
そうだ、この辺り、見覚えがある。
「お父さん、この辺りでいいよ。降ろして」
声を掛けると、お父さんは近くにあったコンビニの駐車場に車を入れた。
そこで積んでいた自転車を降ろす。
心もち綺麗になった、わたしの自転車だ。
わたしはそれに跨り、軽くペダルを踏んだ。
ひとり分の重さしかないペダル。
あれだけ重くて嫌だったのが、今ではなんだか物足りなく思える。
ずっとずっとふたりで乗っていたから。
なんだかそれに、慣れてしまったみたいだ。