「……休んだって……いいの?」
恐る恐る訊ねると、お父さんはわずかに眉を寄せた。
「ああ、安心しろ、有休だから」
「いやいや、そういうこと心配してるんじゃなくてさ」
お父さんは、誰が見ても納得するほどの仕事人間だ。
家庭のことは顧みないで、いつだって仕事が最優先で。
休みに仕事をすることはあっても、仕事がある日に休むことはなかった。
なのに……
「……まあなあ」
お父さんがわたしを見て、ふっと目を細める。
「なかなか休むタイミングってのがわからなくてな、今日は、丁度良いきっかけになった」
そしてぐっと伸びをして、本日3度目の欠伸をした。
「お前をちゃんと大学まで出してやりたいから、働けるうちにたくさん働かなきゃいけないけど。たまにはな、いいと思って」