「時計を見て驚いた、こんな時間まで寝てたのは久しぶりだな」
まるで驚いてなんていないようにのん気に呟いて、お父さんは窓の手前にのそりと座った。
反対に、本気で驚いていたわたしは、湿った雑巾を握りしめたままお父さんに詰め寄る。
「あ、当たり前だよ! ていうか、仕事は?」
夏休み中だから忘れがちだけど、今日もたしか平日で、普通のサラリーマンをしているお父さんには当たり前のように仕事がある。
もうとっくに、仕事に行っているものだと思ってたのに。
なんでまだ、家にいるんだろう……。
「ああ、今日は休んだんだ」
「え?」
「昨日は帰って来るのが遅かったからな、もう休むことにしたんだ」
またひとつ欠伸をしながら、そう答えるから。
わたしはただ、唖然とすることしかできなくて。