帰りの車の中、わたしは助手席に座りながら、ずっと窓の向こうを眺めていた。

昼間なら景色も見えるんだろうけど、真夜中の今では、暗闇に包まれてほとんど何も見えない。


それでもわたしは、外を見ていた。



わたしはずっとこの道を、朗とふたりで進んできたんだろうか。


そんなことを思いながら、通り過ぎていく暗闇の景色を、ただ瞳に映していた。



僅かな段差で車が跳ねると、後部からガシャンと音が聞こえる。

振り向くと、車の動きの合わせて上下に揺れるハンドルが見えた。

ずっと握り続けていたハンドルだ。


2日間乗り続けていた古い自転車は、すっかりくたびれて、今まで以上に古びて見えた。

仕方ない、ずっとわたしと朗のふたりを乗せて、長い道のりを進んでくれたんだから。


結局、目的地に辿り着くことは、なかったけれど。