朗の父親が帰ってから、どれくらいの時間が過ぎただろうか。

雨はまだ降り続いていたけれど、時計の短針は随分進み、12のところを僅かに過ぎたところだった。


仮眠室を貸してくれると後藤さんは言っていたけれど、わたしは眠る気分にもなれず、ロビーでひとりソファに座っていた。

建物の中にはまだ働いている人もいるんだろうけれど、なぜかわたしの周りだけはひと気がなく、しんと静まり返っている。


雨が地面を打つ音だけが、反響して聞こえていた。



昨日からの疲れが一気に押し寄せてきたように体中がだるい。

何もしたくない。

考えることどころか、呼吸をすることさえ億劫だ。


目を瞑ればそのまま、何も映らない瞼の裏のように、全てが消えてしまえばいいのに。


なぜ、こうも容易く、夜は明けてしまうんだろう。