「病気と言うよりは、最早体質と言った方が合ってるかもしれないね」


朗の父親は小さく息を吐いた。

そして何かを思い返すように、今度は彼が目を伏せる。


「似た症状はあるが、前例はない。どれだけ調べても、原因も、そして治療法も見つからなかった」


囁くように言った彼の言葉には、諦めのような感情が込められていた。

伏せていた目が、静かに閉じる。



「あの子の体温は、日に日に失われていく。

もう、あの子に残された時間は、あと僅かしかないんだ」





意外にも、それは静かにわたしに届いた。


鼓動の音も、もう聞こえなくて。



何も何も、もしかしたら、きみの祈りすら、もう、聞こえなくて。




───朗に残された時間は、あと僅か。