「とりあえず今日はもう遅いから、ここに泊っていってもいいから。お父さんにも、明日で大丈夫と伝えてあるし」


後藤さんが立ち上がり、わたしの肩を軽く叩いた。

アイスティーが、ゆらゆらと揺れる。



───明日。


明日になれば、父が来るのか。



きっと、面倒な事を起こしてと呆れ返っているだろう。

もしかしたら、仕事を邪魔されて気分を悪くしているかもしれない。

あの人は、わたしに時間を割くことを、決してしない人だから。


いや、そもそも。

明日と言っても、その明日にも変わらず仕事があるはずだ。

それなのに、いくら呼ばれているとは言っても、わたしにためにわざわざこんなところまで来るとも思えない。



それならそれで、構わないけど。

誰が来ようとも関係なくて、誰も来なくても、どうでもいい。