「朗! どうしたの、ねえ!」


横になる彼の頭だけを支えて、アスファルトにしゃがみ込んだ。

肩を揺さぶって何度声を掛けても、返事は返ってこない。

大きな瞳は硬く閉じられたまま、決してわたしを見つめることはなくて。


「朗!!」


触れた頬は、驚くほどに冷え切っている。

冷たくて、だけど綺麗に整った表情は、まるでよくできた人形みたいで。


昨日の夜と同じだ。

突然、意識がなくなったみたいになって、体中が冷たくなって。


だけどあのときは、朗の体は震えていたし、それに何度も何度もわたしを呼んでいた。

今は、違う。

その唇は、わたしの名前を呼ぶことはなくて、細い体は、枯れた花のように力なく沈んだままだ。


「朗! 朗……!」



一体どうしたの、何が起きてるの。


ねえ、一緒に。


海に行くんじゃなかったの。