空を見たら、眩しすぎたので見るのをやめた。
瞬きを何度もしてから、目の前の横断歩道付きのアスファルトに視線を戻した。
汚いな、やっぱり見るなら空の青がいい。
でもまあ、いいんだ。
だってもうすぐ、海の青を見られるんだから。
信号が青に変わるのと同時に、わたしは強くペダルを踏み込んだ。
人間ふたり分を背負った、重たいペダルだ。
だけど不思議と、錆びた車輪は進む。
もうすぐだ。
その気持ちが、わたしの足を休ませない。
なんだか変な気持ちだ。
だっていつの間にかわたしまで、海に行くのがこんなにも楽しみになっているんだ。
わたしは別に、海に行くのは初めてじゃないし、海を見たいわけでもないのに。
なんだか変な気持ちなんだ。