死んだってよかった。

こんな風に生きているくらいなら、死んだ方がましだった。

何もかもいらないと決めた。

何もかも捨てようと決めた。


昨日のことだ。

たった1日前まで、わたしはそう考えて、あの暑い屋上から飛び降りようとしていた。



なのに、今、なんで。

わたしは明日を、生きようとしているんだろう。



「夏海」



それは、きっと───



「ありがとう」


そっと、朗の額がわたしの背中にもたれかかった。

ひやりとした感触。

冷たい体温。


だけど確かに、温かい体温だ。