細かく折れ曲がりながら、だけど一本で繋がる道。

わたしたちが住んでいた町から、海までを繋ぐ道のりを示す一枚の地図。


「そう言えばさ、その地図ってなんなわけ?」


ふと思い立って問い掛けた。

見た限りでは古そうなその地図。

今までなんとなく気にしていなかったけれど、よくよく考えれば結構な謎だ。


今回のために線を引いて用意してきたのかとも思ったけれど、よく見れば、道のりを書いた赤い線も、僅かに薄くなっているのに気付く。

どうやらそれも、随分前に書いたものみたいだ。



「これか? これはなあ……」


かさかさと地図を畳む音が聞こえる。

そしてまた大事に、ポケットの中にしまうんだろう。


「俺の宝物。小さい頃に俺のじいちゃんから貰ったんだ」

「宝物?」

「ああ。そうだよ」


後ろで、朗が嬉しそうに答える。