なのに朗は、晴れやかに、ただ、わたしに向かって静かに微笑む。


それはもう、涙が出そうなくらいに、優しく、優しく、笑うんだ。



もう言葉は出なかった。


朗の手が握る掌だけはひやりとしていて。

頬の熱は、いつまでたっても、冷めない。




───生きたい



わたしは、生きたいと、思っているのかな。


そんなわけない。

だって、死ぬって決めたんだから。


何もかもいらないって、そう決めたんだから。



いつか零れてしまうような想いはいらないって。

失うくらいなら最初からなければいいって。

自分自身すら、もう、必要はないって。


そう、決めたのに。



なのになんで、きみの言葉は、きみの、存在は。



わたしの中の、捨てきれなかった小さな願いを、掬いあげてしまうのだろう。