「な……なに、言って……」


見つめる瞳から視線を外すこともできないまま、やっとの思いで絞り出した声は、うまく言葉にはならなかった。


なぜかはわからないけれど、頭がうまく回らない。

だけど不思議と、今自分の顔にとんでもなく熱が集まっているのだろうということだけは、わかっていた。



だって、まさか、こんなこと。

言われるなんて、思ってなかった。

思うわけ、ないし。


「なあ、夏海」



愛してやる、なんて……そんなこと。



「俺ができないことは、お前がやってくれた。

だから俺は、お前のために、俺が出来る全てのことをしてやりたい」



わたしの頬から、朗の手が離れる。

その手はそのままゆっくりと下りて、わたしの手のひらに重なった。


「もしもお前が、まだどこかで生きたいと望んでいるのなら、俺がお前の、生きる理由になるよ」