「ん……」


朗は何度か瞬きをしたあと、横になったままわたしを見上げた。


「あ、夏海……おはよう」


そして、夜中に起きたことなんてまるでなかったかのようにゆるりと微笑むから、そののんきな表情に、とんでもない呆れと怒りが溢れてきて。

それともうひとつ、決して見せたくはないものが、零れそうになった。



「……ばか。なにがおはようだっつーの」


堪えるように瞼を押さえて、そのまま朗の頭をぺしりと叩いた。


「いて、なにすんだ夏海」

「うっさいあほ」

「それよりお前、なんで俺の布団にいるんだよ」

「あんたがわたしの布団にいるんだってば」


呆れて呟くと、朗が隣に敷いてある布団を見て「ほんとだ」と笑う。

なんだか、ほんとにもう、のん気過ぎて、わたしのほうがばかみたいだ。