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「お前ら付き合えば?」
「仲良いしなー」
教室でそんな話題になったきっかけは何だったんだろう。
中学のときに、たまたま何かの話をしている私と修弥にクラスの男の子が急に声を上げた。
「…な…」
何をいきなり、そう想った。
だってそんな素振りは見せたことがなかったし、二人で話すのなんて教室だけのことだったのに。
「じゃ付き合う?」
驚く私に、さらっとそんなことを言って私を見た修弥は、何でかすごく楽しそうに笑っていた。
歯を見せて私に対して微笑むその顔が、私の目を捕らえて、返事が出来ない間に教室が一気に騒がしくなり置いて行かれてしまった。
私の言葉はもうみんなには届かないし、修弥は修弥で「どうもーよろしくー」なんて馬鹿なことを。
「ちょ…修弥!?」
「まーまーいいじゃん。いや?」
みんなの輪に入っていこうとする修弥の服を掴んで慌てて引き留めると、修弥は少し笑って、そして少し不安げな表情を私に向けてきたのを、今でも覚えている。
その表情が、私から言葉を奪った。