教室内に一歩踏み入れると、繰り返されていることが分からないほど、なんの変わりもない様子が広がっている。

いつもこんな感じだから、どれがいつもと一緒なのかなんて分からない。

「おはよー」

中に入る私と佐喜子に通りすがりの友達が顔を上げて声を掛けてくれるのもいつものことだ。


「いつもこんな感じだよねえ」

ふと呟いた。

いつもと一緒の毎日は、繰り返されていたって一緒。なんだか――…



どうでもいいような気がしてしまう。

何度も繰り返すならもうそれでいいし、繰り返すのなら何をしたって無意味なんじゃないの?


「実結」

同じように今日も修弥が教室に入ってきて、私を見て笑ってる。

「映画いかねえ?」

同じ台詞は今までだって何度も聞いた。

「いいよ」

同じ返事を今まで何度してきただろう。

同じ毎日は、同じだってなんら違和感がないじゃない。


同じ会話をして、同じように教室から出て行く修弥を見つめながら、感情が何一つ動かない自分に少し空しさを感じる。

空しさを感じるから、感情が動かないのかもしれない。