修弥と付き合ったのは、中学二年の頃だった。
『お前ら付き合えばいいじゃん』
そんなくだらないクラスメイトの冷やかし。なにがどうなってそんな冷やかしを受けたのか記憶にはないけれど。
中学二年の時から同じクラスだったけれど、そんなに多くを話した記憶はない。
かといって別に話さないこともなかったけれど。普通のクラスメイト。それ以外何一つ接点がない。
あったと言えば、趣味くらいだろうか。
同じ音楽に同じ映画。同じ漫画に同じ小説。それをきっかけに数回話が盛り上がったくらいだって言うのに。
『じゃ、付き合う?』
ホントに何を考えてるんだろうか。
クラスメイトの冷やかしに真顔でそう返事をした修弥の顔を私は忘れることはないだろう。
バカじゃないかと思った。
教室の中央でいきなりそんなことを言われたもんだから、私の返事を聞くこともなくいつの間にか『恋人同士』になって――そのまま今。
多分修弥もバカだけど、私もバカなんだろうな。
嫌いなわけではないけれど、分からない間に無理矢理そうさせられた――そんな気がしてならない。