「ごめん、ちょっと用事出来たから――…映画はまた来週で」

さっきは怒ってたのに、都合が悪くなれば申し訳なさそうな顔して、ずるい。

「用事って?」

「あー…ちょっと…」

なんだそれ。
何の用事か位は言ってくれても良いじゃないの?

誘ってきたのは修弥じゃない。なんで…今日一緒にいるのに、勝手に違う用事に行くの。


「…なにそれ」

「悪いって!来週!絶対!」

嘘つき。
大体来週って何よ。明日とか言えば良いじゃない。なんでそんなにも忙しいの。


『女の子と一緒に帰ってた』


ふと噂を思い出して、唇をきつく噛んだ。

女の子と会うの?私と約束してたのに、その女の子に会いに行くの。

忙しいのはその女の子と会ってるから何じゃないの?


言いたくない。
唇を噛んでないと言ってしまいそうになる。
それがなおさら辛い。



「悪いって言ってるんだからそんな怒るなよ」


――ほんっとにバカ。