「寝坊?」
少し後ろを歩く私に修弥が前を向いたままそう声を掛けた。
「あ、うん」
少し違うけれど説明するのは億劫だ。
「珍しいな。お前のおばちゃんパワフルなのに。寝坊前に起こされそうじゃねえ?」
「…修弥私のお母さん知ってたっけ?」
くすくす笑う修弥にふと疑問を感じた。
会ったこと、あったっけ?あんまり記憶にないけど。
「中学んとき何回か帰り道で会っただろ?わすれてんのかよ」
言われてみれば…会ったような気もするけれど。そんなの修弥と会ったのか佐喜子と会ったのかわからない。
そもそも最近では一緒に帰る事なんて滅多になかったし。
「そっか」
そう返事をして、修弥の両親はどんな人だったかなとふと考えた。
何度か家には行ったけれど、中学時代のことだ。そんなに良く覚えてない。
こうやって一緒に学校に向かうなんて…本当に久しぶりだ。
少し視線を上げて修弥を見ると、いつもよりも視線が違うような気がする。
――背が、伸びたのか。
突然伸びることはないだろうけど、気づかなかった。
「今、身長…どのくらい?」
「は?なんだよ急に」
私の声に、変な顔をして私を見て少し考え込んで「172くらいだったかな」と言う。そう言えば前がどのくらいだったか知らないな。