「もう、無理だよ」
私も修弥も。誤魔化すのはもう無理。
「…んだよ、それ…」
修弥が私の肩からするりと手を離す。離す、というよりも、落としたという方が正しいかもしれない。
「修弥も、もう無理でしょう…もう無理しなくても良いよ。
もう、流れで一緒にいるのはやめよう?」
涙がこぼれる。
本当は零したくないのに。
じわじわと落ちる涙が、雨と同じようにぼたぼたと地面に落ちて輪っかを作るのを見つめた。
「お前は」
修弥の声が低くなって、少し震えているように聞こえて少しだけ視線を上に上げた。
少し、空からの雨が――…止まったように思った。
雨の音が止んで静かに…
「お前はずっとそんな風に思ってたのか」
修弥はいつのまには傘をさして無くて、顔が濡れている。
泣いてるの?
なんでそんなに――…悲しそうな顔をするの?
初めて見る修弥の表情に言葉を失って、私も同じように傘をするりと地に落とした。
雨が、静かな空間。