「もー、毎日毎日ジロジロ見られて珍獣かって思うよ」

あたしはヒロに電話をかけた。

転校して1ヶ月。
高校の転校生が珍しいのか、そしてあたしが新しく通う高校は男子生徒が多くて
新しくできた友達と移動教室で歩いていたら「あ、転校生」と言われるし、教室におかまいなしに入ってきて「転校生だー」とジロジロ見られたりの毎日。
唯一嬉しいのはクラスは男子が多いこの学校の中で女子ばっかりのクラスで、みんな優しくて仲が良くて楽しい事。そして、制服がかなり可愛い所だろうか。

「しょうがねーじゃん。でも、友達出来てよかったな。ついでに彼氏も早く出来ればいいけどな」

「こんな珍獣生活で彼氏なんて無理だよ」

あたしもヒロも笑った。

笑いながらあたしは「あ」と思い出した。

「ヒロ、別れたんだよね?だったらチイと遊んであげてよ」

ヒロはため息をついた。

「あの小猿すげーぞ。ほぼ毎日、遊んでくださーいって電話くるからな」

「チイ可愛いじゃん。まぁ、多少は小猿っぽいけどさ。いい子だよ」

「オレ、ガツガツこられるの苦手なんだよ。別にブスとは思ってないけど、・・・うるせーし1回遊んでみるかな」

「変な事しないでよ」

「いや、それがあの女「1回だけでもいいです」って言うんだよ」

その言葉に2人でまた笑った。


しばらくして、ヒロとチイは付き合い始めた。


ヒロの「最後」の彼女。
誰も予想してなかったけど、チイはヒロの最後の彼女になってしまった。

そんな事、あたし達はまだ誰も知らない。