「ボランティアかぁ･･･」


教室の窓から顔を出しながらあたしはため息をついた。


女子ばっかりのあたしのクラスでは恋の話でみんな盛り上がっている。

「うららは初めてってどんなのがいい？」

クラスの子に突然聞かれて「え？」とビックリする。

「は、初めて！？」

「もしかして、もう経験済み？」

みんなあたしに興味津々みたいだ。

「いやいやいや。まさか」

手をブンブン振って否定する。

「でも、先輩と噂になってるじゃん。３年生なんて超大人だよ？」


（それが問題なんですよ！その噂が）


「えー、噂でしょ？全然付き合ってるとかないし、逆に迷惑･･･」

みんな、「そーなの？」と意外な顔をしてる。

「でも、あんなに噂になってたら付き合ってるって思う人いっぱいいるよ」

（やっぱりそうなんですか･･･）

ガクっと肩が落ちる気分。



「誰か代わりにあの男と付き合ってよ」

あたしが言うとみんな爆笑した。

「先輩はうららラブって感じじゃん。どうするの？」


ボランティア･･･

ヒロの言葉がグルグル頭を巡る。


「うーん、近いうち返事はするつもり。多分、噂にお答えできるかな？」

言葉とは逆にものすごいイヤな顔で言った。

一瞬みんながキャーと騒いだけど、あたしの顔を見てシンとなる。


「うららって先輩キライなの？」

「まぁ･･･好きではないよね。でも女には時に我慢は必要なのよ！」

「何か、うらら気の毒･･･」


そうですよ！あたしはボランティアするんだから同情してよね！
心から思った。