パスタを食べながらヒロは言った。

「お前さ、その先輩だっけ?付き合うしかねーんじゃないの?」

「え、ヤダよ。あたしには理想があるんだもん」

「理想?」

「そ、理想。好きな人が出来て、告白して付き合うの。あたし自分から好きになんないと絶対無理なんだよね」

お店が混んできた。
中には多分、同じ中学かな?って人もいるみたいで、あたしとヒロを見てコソコソ話している子もいた。

あたし達の中学は市内でも繁華街のそばにある。
昔からあたし達の遊び場は飲み屋や観光客が集まる場所だった。
高校は市内でも結構奥の方にある。だから、あたしと同じ高校の子を見る事はあまりなかった。

「でも、学校中の噂になってるんだろ?どうすんの?」

ヒロの言う通り。
あの先輩があたしを好きだって事は学校中で噂になってて、他の知らない先輩からも「うららちゃん、付き合ってあげなよ」と声を掛けられる始末。

「もー、あたしの高校ライフに傷がつくじゃん。どうしよう」

考えるとため息しか出ない。

「で、カッコイイの?その先輩」

ヒロの質問にあたしは首をブンブンと振った。

「全然。ほら、いるじゃん。面白いから人気ある人って。そのタイプ」

「あー、はいはい」

オレンジジュースを飲んでるとヒロが「あ、そうだ」と言った。

「久々に今度うち来るか?西にもしばらく会ってねーだろ?」

「行く!」

あたしは笑顔で言った。