中学校はあたしが通ってた当時と何一つ変わってない。

あたし達は職員玄関で「すいません」と声を掛けた。

まぁ、当たり前だけど、あたし達が通っていた頃の先生は誰もいなかった。
だから、対応してくれたこの先生も、あたし達を中へ入れていいものか悩んでいるみたいだ。

そのやり取りを聞いていたのか、年配の男性の先生が現れた。

当時、あたし達の学年のクラス(あたしとモリのクラスじゃないけど)の担任だった先生と何年か一緒に働いていたという。

「せっかく卒業生が来てくれたんだから」

年配の先生はあたし達を中に入れてくれた。


外観が全く変わらないのに対して、中は結構変わっていた。

まず、靴箱の棚の数が圧倒的に少ない。
あたし達の頃は7クラスあったけど、今は4クラスしかないという。

「あたしの靴箱ここだった」

あたしは自分の靴箱だった棚の前に立った。

「オレここ」

少し離れた場所にモリが立った。
確かモリは2組で、あたしは7組だった。

靴箱のすぐそばの階段だった場所はスロープがあって、坂になっていた。

「車椅子の子がいるんですよ」

先生は微笑みながら言った。バリアフリーになっているらしい。

他の階段を見てもどれも新しくなっていた。

「15年くらい前の階段ってありますか?」

あたしが聞くと「ありますよ」と先生は案内してくれた。


古い階段がある場所は、あたしが2年の時のクラスのすぐ横の階段だった。

「コレ!!この階段!!」

あたしとモリは懐かしさに盛り上がった。

「この階段を上がって・・・」

あたしは言いながらギシギシ言う階段を上がった。
そしてすぐ角を曲がった。

「ここがあたしのクラス」

自分のクラスの前に立つと、当時はここに入るのが大嫌いだったのに、不思議と懐かしい気持ちしかない。