頭の中で風が吹くみたいにヒロとの記憶が蘇る。


ヒロの部屋、無造作に置いてあったテストの点数は4点だった。

『4点?あはははは!バカじゃねーの?』

あたしが爆笑すると「うるせーぞ!」と頭を叩かれる。

『そういうお前は何点なんだよ?』

『・・・20点・・・』

2人でため息をつく。



ヒロがベースを弾いている。

あたしはその曲を歌っている。

突然、音が変になった。

『どうした?』とあたしが言うと、

『お前の歌声がお経に聞こえる』

あたしはスコアブックを思い切りぶつけた。



『ごめんなさい・・・』

ヒロの沈んだ声。あたしは受話器を持ちながら涙をボロボロ流していた。

『って怒るなよ!悪かったって。もう聞かないから』

『聞かなくても、ヒロはずーっとバカにすんでしょ?「ペチャパイなのにブラしてても意味ねーな」って』

『もう言わねーから。サイズがあるんだから必要なんだろ?』

『バカ!!アホ!!大嫌いだ!!もう電話かけてくんな!』

怒って電話をガチャ切りした。



ウチの中学は全員部活に入る事が強制せれていた。
ハンドボール部があって、バレー部やバスケ部が終わった夕方から始まる。
ヒロはハンド部で、強制前から入部していた。

部活が終わってあたしが帰ろうとするとたまに入れ違いでヒロと遭遇する。
「お疲れー」ヒロに声を掛けるとニタっと笑ってから結んだ髪を思いっきり引っ張る。

『痛いじゃん!』

そう言うと、知らないフリをしてスタスタ体育館に入ってしまう。