翌日、朝にユキが帰ると寝ていたあたしをモリが起こした。

「ほら!時間ねーんだから出かけるぞ」

「あぁ、お墓参りでしょ?わかってるよ」

あたしはのそのそと起き上がった。


モリは家を出る時、アコギのケースを持っていた。

「何するの?」

あたしが聞くと「何って・・・」モリは顔をしかめた。

「ギター持ってんだから弾くに決まってんだろ」

「どこで?」

「墓で!」面倒そうに答えた。

「え!?お墓で弾き語り?」

あたしはビックリした。


墓地に向かう途中、モリは話し出した。

「オレらのバンドの曲に「ソラリ」ってCDにもしてない未発表曲があるんだよ。それはヒロの曲なんだ」

「ヒロの?」

「うん。ヒロの事を歌った曲。大事な曲だからCDに入れない」

外は生憎、小雨が降っていた。

「それを歌うの?お墓で」

あたしの質問にモリはうなずいた。

「本人にまだ聞かせてないからな。こんな平日の昼間に墓参りしてるヤツなんていないだろ。だから歌っても大丈夫だよ」


「ソラリ」・・・、ヒロの曲。
どんな曲なんだろう・・・?


墓地について1時間・・・

あたしとモリはゼーゼー息を切らしていた。
墓地の中をずっと探して歩きまわっていたからだ。

「見つかった?」モリに聞くと「見つかんねー!!」

あたし達はヒロの実家に電話をかけてお墓の場所を聞く事にした。