数日後。


いくら、あたしに教えてもラチがあかないと思った恋人は、中古屋さんでギターを買った。


「ま、練習用だし、家で弾くだけだからコレでいいや」

選んだギターのお値段は3万強。

「えー、いいじゃん!あそこに8000円のあったよ?」

あたしが指差すと呆れたように言った。

「あのね、オレはこれでもギター小僧だったの。音が悪いのは弾けません」



あたし達のやろうとする曲を彼はDVDを見ながら鼻歌交じりにギターを弾いていた。
ギター上手なんだって、という噂は聞いた事あるけど、本当に上手い。




数時間して

「お待たせ。じゃぁ、オレがリードのギター弾くから、それに合わせてベース弾いてね」


あたしはヨシっと気合を入れてベースを構えた。


「あと、うららは指の力がないから指にもっと力入れたら、弦ちゃんと押さえれるから。そしたら音ちゃんとなるからね」

「OK!」

恋人は音楽をかけると「はい、いくよ!」と言った。



「指が・・・、腕が折れる・・・」

1時間後、あたしは腕を押さえて涙目になった。

「うーん、まだ指が出来上がってないからかな?」

あたしの手を見て恋人は首を傾げる。

「でも、一緒に弾いたらわかってきたでしょ?まだ、人には聞かせられないけどさ」

笑顔の恋人にあたしは言った。

「あのさー、あたしの代わりにベースで入ってくれない?バンドに」

デコピンをされた。

「オレが入ってもしょうがないでしょ?自分でやりたいって言ったんだから」


(うぅ・・・、オデコも指も痛い・・・)