それと同時くらいの頃。


あたしはユッコちゃんのバンドの練習によく遊びに行ってた。


華奢で小柄なユッコちゃんはドラム。


「前の会社でさ、ムカつく上司がいてさ、ストレス解消に何かないかなぁ、殴るものって思って」

それで習い始めたみたい。
ユッコちゃんらしいなぁ。そう思った。



「マネージャー!今のどうだった?」

バンドのギターの人に聞かれる。


(あたしってマネージャーって呼ばれる運命なのかな)


苦笑いしてしまう。


「いいと思うよ」


あたしは言った。


まあ…この人のギターがちょっとしつこい感じするけどね。
あたしは専門家じゃないし。



ユッコちゃんのバンドは、このギターの人と、ギターボーカルの美少年な受験生「アキちゃん」。ベースの天然系「よへい」。


あたしは何も楽器は出来ないけど、一緒にいるだけで楽しい。


練習が終わると、大人のあたし逹がギャーギャー騒いで、アキちゃんがそれをまとめる感じ。どっちが大人なんだか・・・。と大人のあたし達はたまに反省する。





「え!?」

会社であたしはギョっとした声を上げた。


いつもの風景。
あたし達の会社って基本的に・・・・ヒマ。
よく潰れないよなって本当に思う。

そんなヒマな会社であたしとユッコちゃんはいっつも喋るか寝るか遊ぶか、そんな事ばっかりやっている。
典型的な給料泥棒とはあたし達の事を言うんだろう。