お経が続く中、あたしはヒロの事をずっと考えてた。


『オレは知ってるんだよ。お前にとってあのイジメは大きな傷になってる。強くなろうと努力してんのもわかってるけど、オレはあの時のお前を見てるし、お前が学校休んでる間に机に『死ね』って書かれたのも見てる。やっぱ、それは忘れられねーし、オレの家でその話した時にすげー泣いたのも見てる。だから、オレの事は別に何とでもなるから心配しなくていいんだよ』


あたしの机に書かれた『死ね』の文字。ヒロはずっとそれを、あたしの傷を一緒に抱えてくれてた。


『オレが思うに、お前は悪く言うと弱いしお人好し。ついでに流されやすい。それは常に心配だな。でも、お前は優しいんだよ。人の痛みがわかるんだよ。そこはオレ、尊敬するなー』


違うよ、あたしがヒロを尊敬してるんだよ。
人の痛みがわかるのはヒロのほうなんだから・・・。
誰よりも優しいのはヒロなんだよ?自分でわかってた?


遺影を見上げる。
笑っているヒロ。

(ねぇ、あたしヒロに聞いてるんだよ?答えなよ。何で写真なの?)

どこにいるの?
何であたしは喪服を着て、あんたのお通夜なんて出てるの?
お通夜って何?
それって死んだ人のためのものだよ?

どうして?
どうしてあたしがヒロのお通夜にいるの?


死んだの?
本当に死んだの?

笑ってないで答えてよ。