何人か中学の時の同級生に会って、話をしたけど、あたしの頭の中はからっぽだった。

斎場に入って、座る場所を探していると、若葉とモリの姿も見えた。


あたしは同級生から離れた場所に座った。


そして顔を上げて遺影を見た。
いつの間にか大人になったヒロが笑っている。


お通夜が始まってちょっと経ってからあたしの隣に誰か座った。
見るとそこには学年主任だった佐藤がいた。

「あ、先生・・・」

「久しぶりだな」

佐藤は前を向いたまま言った。

「うん・・・」

「みんな大人になっていくな、お前も」

「そうだね」

あたしも前を向いたまま答えた。

「成長するのを見るのは嬉しいがな、こんな再会の仕方、望んでない」

佐藤はもしかすると泣いているのかもしれない。

「先生」

あたしは言った。

「あたしね、ここにいても実感わかないの。でも、理解しなきゃいけないかな」

しばらく間があった。

「無理に理解しようとしなくていい。時がくれば受け入れられる」

「それっていつだろうね・・・」

「時間がかかってもいいんだよ。無理にしなくていいんだから」

あたしは少し涙が出た。