1時間くらいでユキから電話がきた。
あたしはもぎ取るように電話を掴んだ。


「うらら。よく聞いてメモして・・・、お通夜は明日の6時半からで、告別式が明後日の10時、場所は・・・」

あたしは震える手でメモを取りながらユキに言った。

「ユキ、あたしが知りたいのはヒロは生きてるでしょ?って事だよ」

「死んだよ」

ユキが感情のない声で言った。

「死んだ事は事実。間違いなんかじゃない」


(ウソだ・・・・)


あたしが絶句していると、ユキは怒鳴るように言った。

「うらら、明日絶対来なさい!絶対に。じゃないとあんた後悔するから!」




ヒロと最後に話したのっていつだっけ?

あぁ、あたしがサトを好きだって言った時だ。

「頑張れよ」って言ってくれたあの時だ。

あれ、2年も前じゃん・・・

ヒロの笑顔が頭に浮かぶ。



中学生の頃、あたしはヒロに冗談で言った事がある。

「あんたって絶対早死にするタイプだよね」

ヒロは笑ってた。

「オレがそう簡単に死ぬわけねーだろ」



でも、でも、死んじゃったんでしょ?

あっけなくたった20歳であんた死んじゃったじゃん。



その夜、あたしは新聞記事を握り締めて寝た。
ウトウトは出来たけど、頭の中はヒロとの思い出がグルグルと巡っていた。