ジュースをひとくち飲んだあと、私は小浜の方へ身を乗り出して本題に入った。

「あの、涼子さんとは会っていますか?」

 すると小浜は首をかしげて、次に天井を仰ぎ見て、
「うーん」
と考えた。しばらくそのままで、まるで魔法で固まったように動かなくなったが、
「あ」
と言うと、
「この間、はじめて電車の中で会ったでしょ?あれが最後かな」
と思い出すようにゆっくりと言った。

「あれって、もう3日くらい前の話じゃないですか?その間、涼子さんと連絡はとってなかったんですか?」

「うん」
当たり前のように言う小浜に驚いたが、当の本人はコーヒーが思ったよりも熱かったのか、目を白黒させていた。

「それって不思議」

「なにが?」

「普通、3日も会わなかったり連絡もなければ心配するものじゃないんですか?だってお2人は恋人なんですよね?」
私がそう言ったと同時に、私にとって生涯忘れられない出来事が起こった。

 なんと、小浜がコーヒーを噴き出したのだ。それも私の顔めがけて・・・。