「へぇー、バイトってなにやってるんですか?」
そう尋ねてから、私は自分のバカさを再び呪った。バカ!こんなこと聞いてる場合じゃないのに!

 そんな私に気づくはずもなく、
「家庭教師だよ。今は受験前だからけっこう繁盛してるんだ。まぁ、なんとか結果を残してもらわなきゃならないから大変だけどね」
と、自慢気な顔をしてみせる。

「へぇ・・・あ、そんなことより今時間あります?どうしても話したいことがあるんですよ」

「え?」

「お願いします、大事な事なんです」

 私の声色の真剣さに気づいたのだろう、小浜は周りをキョロキョロ見渡し、
「ハンバーガーでもいい?」
と尋ねてきた。


 
 駅の構内にあるハンバーガーショップで小浜はコーヒーを、私はオレンジジュースを頼んだ。小浜は「おごる」と言ってきかないので、お言葉に甘えることにし、私達は店の2階にある窓側の席へ座った。