「ありがとう。私も、この数日は夢のようだったけど、こうしてここにいることを感謝してる」

「これからどうするんですか?」

 そう言うと、涼子は少しうつむくと、
「分からないけど、私、少しは強くなれたと思う。両親にもきちんと自分の気持ちを話せると思う。それでムリなら、高校を出たら働くつもり」
とひと言ひと言をかみしめるようにゆっくりと言った。

「それでいいんですか?」

「もちろん」
 明るい顔で涼子は言った。
「で、働いて落ち着いたら優斗と家を出てもいいと思うの。もちろん、両親は変わってくれるって信じているけどね」

 

 その目はまっすぐで、力強さにあふれていて、私はまた美しいと思った。