いろんなことがあったけど、私たちにとって涼子の失踪はある意味良かったのかもしれない。

 私にとっても、いろんなことを知る良いきっかけになったと思う。

 英美のおかげであるところが大きいとは思うが。

「どうしたの?ぼんやりして」
 
 気がつくと涼子が目の前ににっこり笑って立っていた。

「涼子さんもういいんですか?」

「うん。オルゴールよりこの風鈴のほうが良い音だと思うの」
 と、さっき買ってもらった袋を持ち上げてみせた。

「ほんとうに良かったです、小浜さんと恋人になってくれて」
 これは本心から言えた。実際、そう思っていた。

 涼子は「うん」と言うと、私の隣に腰をかけた。

「私、本当にうれしかったの、ありがとねカナちゃん」

「いえ、私なんて何にもしてません。全部、小浜さんや優斗のおかげですよ」