料理がテーブルに並ぶと、自然に皆が集まりだした。
　テーブルに並んだ料理は、一言で言えば『色がある』だった。インゲンもサラダも、どれもが鮮やかな色をしていた。

「さぁ、みなさん席につくさね。もうすぐ涼子も帰ってくるさ」

　さすがに食事時には緑茶がでてくると思ったが、今回はウーロン茶が用意されていた。よほど苦手なのだろう。

　湯気のただよう食事を前に、誰もが意識だけは玄関に集中させていた。

「アネキ逃げるといけないから、ここで待とう」

　さっきまで玄関で待っていたくせに、男性2人でうなずきあっている。

　その時、玄関の扉が開く音がして、
「ただいまー」
と声が聞こえた。

　小浜が立ち上がりそうになるのを菜穂があわてておさえる。

「ねぇ。靴がすごいけど誰かお客さんなの？」
涼子の声がどんどん近くなり、そして扉が開く。

「あ・・・」
涼子が私たちを確認し、思わず声に出す。目が大きく見開かれ、意識とは別に後ずさりをし出す。