「なぁ、ばあちゃん。お客さんたちこまらせんのはやめろよな」
 優斗が「いいかげんにしてくれ」とでも言いたそうにため息をついた。

「ふふ」
 英美がこらえていたものを噴き出すかのように笑い出した。
「さすが優斗さ。よく私の意地悪を見破ったの」

「誰でも分かるって、なぁアネキはいるんだろ?」

 皆が一斉に姿勢を正す。英美は、それでも紅茶をひとくち飲むまでの間をかかえて、その後、私たち全員を挑戦するかのような目で見た。

「あぁ、涼子はいるよ」

「どこにですか!?」
小浜が慌てた様子で尋ねる。

「今は出かけとる。町を散歩してるんさ。そのうち戻ってくると思うけど」

「そうなんですか、涼子に会えるんだ・・・」
すでに小浜の目には涙が浮かんでいた。優斗や菜穂も気が抜けたような顔をしていた。


「ばあちゃん、俺らアネキを迎えにきたんだ」

「そんなこと分かっとる。まぁ、本人が帰るまでは自由にさせとくつもりだったが、それもいいさ」