昔ながらの家だろうという予想に反して、優斗のおばあさんの家は小さいながらもオレンジの壁のかわいらしい家だった。最近建て直したようだ。

「なつかしいな~。3年ぶりくらいだ」
車から降りて伸びをした優斗が言う。

「ついに、つきましたね」
助手席から降りた小浜がいくぶん緊張したような顔で言った。

「それではみなさん、ありがとうございました。アンケートまで書いてもらって助かります」
 運転席からペコリと頭を下げて遠田は微笑んだ。

「大丈夫?ちゃんと帰れる?」
 心配して菜穂が尋ねると、遠田はない力こぶを作ってみせて、
「もちろん。もし迷っても、札幌駅をめざしていけばいいだけですから。みなさん、良い旅を!」
と車を出発させた。

 角を曲がるまで見送った私たちは、自然に4人が向き合う形になる。いよいよ、決戦の時なのだ。

「まぁ、俺が行ったほうが早いよな」