それにしても・・・これで涼子に会ったなら私はどうすればいいんだろう。

 なんて声をかければいいのだろう。


 北海道行きが決まってから何度となく自分に尋ねた質問だ。そのたびに、分からずに答えに窮する。涼子さんは何て言うのだろう。

 こんなところまで押しかけた私たちを歓迎してくれるのかな。それとも嫌がるのかな。

 小浜への気持ちも複雑だ。涼子さんには申し訳ないけれど、私はおそらく小浜に恋しているのだろう。彼が私に話しかけてくれると心が躍るし、とても幸せな気持ちになる。

 それでも出会ってからそんなに時間はたっていない。大して深く知りもしない相手なのだ。あこがれ、でごまかすのも良いが、それならばこの感情はなんなのだろう。


 実際私は、涼子に会いたいような会いたくないような気持ちでいる。

 涼子に会う時、それは小浜との楽しいひと時も終わるという意味だ。

「恋は不思議だね」

 思わずつぶやいた一言に、菜穂が「は?」と反応する。

「あ、いや。恋ってさ、ただ単に相手を好きでいればいいだけの話なのに、好きになればなるほどにその先を期待しちゃうよね」