「あ、はい」
小浜も良く分からないままうなずくのを見て、私は菜穂の肩を抱きながら、
「それじゃ、そういうことで・・・」
と、足早に出口へと向かった。


 店員達は口々に、
「トイレならあっち」
「ちょっと待ってください」
などと言っていたが、誰が立ち止まるもんか。

 出口から外に出た私たちはそのまま立ち止まらずに、最後は走りこむように遠田の待つ車へと乗り込んだ。席にのりこむと、そのまま大爆笑。

「カナなら気づいてくれると思ったんだ」

「もち。保健室へ逃げるいつもの演技だもん、すぐに分かったよ」

 2人でハイタッチして喜ぶ。

「やっぱな、見慣れた展開だと思った」
そう言う優斗も笑っていた。

「ははぁ、なるほど。そういうことかー」
ようやく理解した小浜が遅れて笑いだす。しばらく爆笑した後、きょとんとしていた遠田が、
「すごいですね~、みなさん最短記録でしたよ」
と笑い、次の目的地へ向け車は出発した。