「コハマン、涼子さんに何か買ってあげればいいじゃん」
 菜穂が私越しに小浜を見て言った。

「え!いや・・・そんな・・・」

「女子は誰だって宝石が好きなのよ。きっと涼子さんも喜ぶよ、ね、カナ?」

「うーん、そうかもね」
 とりあえずあいまいな返事をしておく。小浜が涼子に宝石・・・正直そういうのは見たくないな、と思う自分に嫌気がさす。

 
 なんとか車は宝石店の入り口に横付けをし、私たちは地面に降り立った。

「では、私はここで待っているので、みなさんどうぞゆっくりご覧くださいね~」

 遠田に見送られて店内に足を踏み入れる。

「いらっしゃいませー!」
 足を踏み入れたとたんに若い女性の声がたくさんしたかと思うと、バタバタと同じ制服を着た店員が駆け寄ってくる。あれよあれよと言う間に、各自バラバラに店内に連れ込まれてしまう。

 特に小浜は唯一お金を持っていそうな年齢だからなのか、3人の店員に囲まれてショーケースの中の宝石をすでに見せられていた。