部屋割りは、もちろん小浜と優斗、そして菜穂と私だ。フロントでカードキーをもらい、エレベーターで6階へ上がる。二つの部屋は隣同士だった。

 この後すぐに市内観光に出かけなくてはならないので、20分後に廊下に集まることにし、部屋へ入る。

「うわっ、せま」
 扉を開けたとたんに、短く部屋の感想を述べた菜穂につづいて部屋に入る。たしかに、入ってすぐ右にトイレだと思われる扉、正面にはベッドがふたつ並んでいるだけだった。

「ま、いいじゃん。どうせ部屋にはあまりいないし」

 スーツケースをベッドの上に広げて、とりあえず必要なものを取り出す。しばらく無言で準備をしているうちにあっという間に20分が過ぎた。


 廊下には男性陣がすでに用意をして待っていた。小浜は、さっきよりも薄めの生地のジャケットに着替えていた。

「運転手さんの言うとおり、確かに今日はあったかいですからね」

 何も言ってないのに、私に説明する小浜に『通じ合えた』うれしさがあふれだし、私はあわてて、
「そうなんだ」
とそっけなく言ってエレベーターへ歩き出す。

期待しちゃだめだ。期待しちゃダメだ。