小浜は静かに首をふると、
「観光に不参加の場合はおひとりさま1万円必要らしいです」
と優斗の目をみつめた。

「なんだよ、それ」

 ふてくされた優斗に、菜穂がすかさず、
「ま、格安ツアーじゃ仕方ないよ」
となぐさめている。




 札幌駅は、とにかく天井が高いのが印象的だった。北海道らしく、いたるところに有名な銘菓ののぼりや看板が立っている駅構内を抜けると、私たちはタクシーに乗った。これも格安ツアーのお決まりごとなのか、ホテルまでは各自で移動らしい。

 タクシーの助手席には小浜、後ろの席には左から私・優斗・菜穂が座った。

「すごいまっすぐな道」
菜穂が前をみつめて言う。

 確かに、駅を出てからホテルまでの大通りは、先の方が見えないほどまっすぐな道だった。一度行ったことのある京都にも似ていて、区画整備がきっちりとされているようだった。

「雪、降るのかな」
 小浜がうしろを振り返って言う。3人いる中で、私の方を見て言ってくれたのがうれしい。