やがて機体は滑走路に出たのだろう。後ろのほうからエンジンを全開にしたであろう大きな音がしたかと思うとスピードが上がった。

 どんどんスピードは上がり、Gがかかったかと思うと、軽いバウンドがして窓から見える景色は斜めになる。離陸したのだ。

 町並みはどんどん小さく広くなり、私の席からは青い空しか見えなくなった。

 急に今から北海道に行くことがリアルになったようでドキドキしだした。そうだ、今から私は涼子を探しに行くんだ。

 涼子は、札幌のおばあさんの家にいると言う。果たして、涼子が本当にそこにいたとして、どんな言葉をかけてあげられるのだろう。

 昨日までは、会えばなんとかなると思っていた。でも、今は・・・。

 涼子のお母さんのことまで知ってしまった今となっては、どんな言葉をかければいいのかも分からない。本当につらい思いをしている涼子に、なにを言っても無力のような気がする。いや、実際そうなのだろう。